■「海事プレスONLINE」2022年8月10日(水)に、内海造船についての記事が掲載されています。
内海造船がプロダクトミックス戦略を一段と高めている。得意としてきたカーフェリーやRORO船、コンテナ船に加えて、近年は官公庁船への取り組みも強化。洋上風力発電の基礎部の工事への進出も視野に入れる。技術対応力の高さからさまざまな引き合いが寄せられており、「国内で対応できる造船所が減っているとも聞いている。ご相談をいただき、当社が手掛けられる案件にはチャレンジしようとしている」(原耕作社長)との考えだ。
内海造船は、特定の船種に特化せず、その時々の顧客のニーズに応じてさまざまな船を柔軟に受注する「プロダクトミックス戦略」をとっている。製品ラインアップは、主力のカーフェリーとRORO船のほかに、ハンディサイズ・バルカーや一般貨物船、フィーダ-コンテナ船、自動車船、プロダクト船など多岐にわたる。実習船をはじめとした官公庁船も手掛ける。
ここ最近で、製品と顧客の幅が広がっている。瀬戸田工場では今年4月、サモア向けの貨客船兼自動車渡船“Lady Samoa IV”が進水した。内海造船にとっては初のODA(政府開発援助)案件だ。これに続いて、昨年9月に受注した台湾ナビゲーション向け600人乗りフェリー1隻の建造も控えている。これまで国内向けを主体としていたフェリーが、海外向けの輸出市場に広がっている。
今年2月には、商船三井フェリーからLNG燃料フェリー2隻を受注。LNG燃料船の建造は初。また1万5600総トン、全長199.4mと、フェリーでは内海造船にとっての過去最大船型だ。
さらに官公庁船分野も広がっている。昨年は、青森向けに漁業実習船を受注した。実習船はおよそ40年ぶりで、前回は親会社の日立造船の下請けとして建造したものだったことから、内海造船が主契約で手掛けるのは今回が初めて。他にも、490トン型油船2隻の建造にも取り組んだほか、今後は洋上風力発電の基礎部の工事にも進出することで検討を進めている。
国内では20~30年前に建造された官公庁船やフェリーなどの代替建造計画が立ち上がっても、当時建造を担った造船所が既に建造から撤退・縮小している例がある。個別設計の船舶に対応する造船所も減っている。こうした中、技術対応力が高い内海造船には自然と引き合いや相談も増えているようだ。