無人運航実証船にシステム搭載完了 DFFASプロジェクト、“すざく”公開【海事プレス-1/25】

■「海事プレスONLINE」2022年1月25日(火)に、三和ドックについての記事が掲載されています。

自律運航システムを詰め込んだコンテナを船尾デッキ上に設置

 日本郵船グループの日本海洋科学が代表会社を務める無人運航船の実証プロジェクト「DFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)」は、自律運航システムの搭載を終えた実証実験船“すざく”を23日、工事を行った三和ドックで報道陣に公開した。同船は今週からシステムの試運転を実施し、2月末に東京湾/伊勢湾間で実証運航を予定する。
 DFFASは、日本財団が実施する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に取り組むプロジェクトの1つで、国内30社で構成するコンソーシアムが進めている。既存の内航コンテナ船“すざく”に無人運航を可能にする自律運航システムと搭載するとともに、昨年春には千葉・幕張に無人運航を陸上から監視・サポートする陸上支援センターを完成させており、実証運航に向けた準備を進めている。
 陸上支援センターに、陸上側のシステムとともに本船側のシステムも設置して、前段階でさまざまなシミュレーションを繰り返しシステムの精度向上、不具合の修正を実施した上で、本船にシステムを搭載するかたちをとった。船側の自律運航システムは40フィート型コンテナに詰め込んでユニット化。これを船側のシステムと連携させた。
 本船には、周辺の情報を収集するためのミリ波レーダーなどの各種レーダーやカメラ、避航システム、制御に用いるDPS、オートパイロットなどさまざまな機能を装備。通信システムはVSATとLTEを併用し、通信状況や負荷を加味して最適な通信状態を確保できるようにした。これらの機能を用い自動で、本船の周辺の状態を把握して避航ルートを計画、これに沿ってエンジンや舵を動かす。
 システムの状態は常に把握され、緊急時には陸上支援センターで遠隔操船もできる。また、今回の実証運航では、船長の判断で自律運航と通常運航の切り替えを行える仕組みも搭載した。
 自律運航システム搭載工事で、三和ドックは詳細設計と搭載工事を担当。本船が昨年12月7日に到着する前にコンテナにシステムを搭載する作業を実施した上で、本船の工事に入った。複雑なシステム搭載となるなか、実証後に原状復帰をしやすくすることも念頭に置いた作業となった。
 【DFFASのコンソーシアムメンバー】日本海洋科学、イコーズ、ウェザーニューズ、EIZO、MTI、NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、近海郵船、サンフレム、三和ドック、ジャパンハムワージ、ジャパンマリンユナイテッド、スカパーJSAT、鈴与海運、東京海上日動火災保険、東京計器、ナブテスコ、日本海運、日本郵船、日本シップヤード、日本無線、BEMAC、pluszero、古野電気、本田重工業、三浦工業、三井住友海上火災保険、三菱総合研究所、YDKテクノロジーズ

コンテナ内はモニタールーム(写真)とサーバールームに分かれる
機関部の様子は魚眼レンズのカメラやセンサーを用いて、陸上支援センターで常に把握できる
船橋でもDFFASシステムの健康状態を常に把握(写真右モニター)。緊急時に備え、船長判断で通常運航への切り換えも可能