新規開発強化や設備投資で安定利益確保 内海造船・中計、クレーン3基能力増強【海事プレス-11/22】

■「海事プレスONLINE」2021年11月22日(月)に、内海造船についての記事が掲載されています。

 内海造船は18日、21~25年度を対象とする5カ年の中期経営計画を発表した。2022年4月に予定される東京証券取引所の市場区分の見直しで株価の時価総額が基準を下回ることから、業績向上による株価上昇を図る。施策としてLNGなどの新燃料適合船の開発や大型フェリーなど新分野の取り組みによる収益力強化に加えて、クレーン3基の更新による能力増強などの設備投資やデジタルデータの活用でコストダウンを図り、当期利益2億~3億円を安定して計上できる体制を構築する。
 中期計画の施策の骨子は、環境規制対応船や新分野の船舶の開発・生産による収益力強化と修繕船事業の収益維持、コストダウンによる収益力向上の2点。環境規制対応船では、エネルギー効率設計指標(EEDI)フェーズ3対応、LNGなどの新燃料適合船の開発を進めており、それぞれ契約に向けて作業中としている。
 大型フェリーや輸出フェリー、官公庁船、風力発電関連など新分野の取り組みも強化する。新規分野では既に大型フェリーや輸出フェリーを受注したほか、漁業実習船を受注した。同社のタ-ゲットとなりうる各種練習船は40~50隻あると考えられ、練習船分野の受注拡大に取り組む。
 定評のある新船型開発や新設計による省エネ、安全・労働負荷軽減の船などの開発・生産により収益力を強化する。国土交通省が認定する内航船省エネルギー格付け制度で最高評価となる“5つ星”の建造実績が16隻に達している。
 コストダウンによる収益力向上の施策では、設備投資として大型クレーン3基(200トン×2基、100トン×1基)や各種製造機器の能力増強・更新投資を進める。既に200トンクレーン2基は120トンクレーン2基の更新として今年3月と6月に導入済みで、80トンクレーンの更新となる100トンクレーン1基は来年度に導入予定。このほか、デジタルデータ有効活用などによる生産性向上を進め、トラブル事例データ活用による不具合コスト削減、調達実績データを活用した戦略的・合理的な資材費低減、IT活用を通じた業務の見直しによる固定費の削減を図る。
 内海造船は、9月末時点の流通株式数に対して当期利益2億~3億円を計上していた15~18年度の株価であれば上場維持基準の時価総額10億円を満たすことから、安定して当期利益2億~3億円を確保する計画を策定した。

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