LPG燃料LPG船3隻受注 佐々木造船、アイメックスが機関納入【海事プレス-4/5】

「5S35ME-C9.7-LGIP」外観図

 佐々木造船はこのほど、LPGを主燃料とする7500立方㍍型LPG船3隻を受注した。日立造船子会社で小型の舶用ディーゼルエンジンを手掛けるアイメックスが、LPGを主燃料とするデュアルフューエル(DF)エンジン「5S35ME-C9.7-LGIP」3基を納入する。小口径(350mm)LPG焚きエンジンを搭載する、日本初のLPG船となる。エンジンはアイメックスの因島工場で建造し、試運転は日立造船の有明工場で実施予定。アイメックスはDF機関で実績を持つ日立造船と連携し、グループを挙げて挑む。

 「5S35ME-C9.7-LGIP」は、5000~1万5000立方㍍型LPG運搬船に搭載可能な出力レンジを持つ。従来油と比較した場合、CO2(二酸化炭素)排出量は10~15%、NOx(窒素酸化物)排出量は12%、SOx(硫黄酸化物)排出量は99%削減できる。アイメックスは同エンジン3基と合わせ、LPG燃料供給装置(LFSS)も受注した。エンジンは2022年3月の納入を予定する。
 アイメックスは数年前から、エンジンを供給する造船所との間で、温室効果ガス(GHG)排出規制のエネルギー効率設計指標(EEDI)フェーズ2、フェーズ3への対応について相談を重ねてきた。その中で、1年以上前からLPG船へのDFエンジン搭載の話が上がってきたという。
 世界のLPG船のうち、1万1000立方㍍型以下の小型LPG船の多くを、日本の造船所が建造している。こうした背景から、LPG船のEEDIフェーズ3対応に先行して取り組もうと、佐々木造船との検討を重ね、今回の受注に至った。
 受注したLPG船3隻は2022年半ば~23年前半に竣工予定。佐々木造船は今回のLPG燃料推進船について「他の造船所が手掛けられていないもので、お客様が求めるものを開発・建造していくのが当社の考え。昨今のガス燃料船のニーズの高まりに合わせた取り組みで、様々な次世代燃料船への第一歩と考えている」(佐々木恭兵営業部長)と話す。
 エンジンの納入に向けては、LNG焚きDFエンジン「ME-GI」で実績を持つ日立造船・有明工場と連携する。22年1月に入ってから、同工場で試運転を行う予定だ。
 LPG焚きエンジン搭載に向けては、以前から佐々木造船と検討を続けていたものの、受注から納期までが約1年と短納期となる。これまでボア350㎜のLPG用DF機関は実用化されておらず、アイメックスと韓国がほぼ同時期に世界初の製造を進めている。アイメックスの土井照之社長は、「経験を有する日立造船の有明工場と共に取り組み、短納期に対応しながら、不具合のないエンジンを出したい。気持ちとしては、少なくとも日本で建造するLPG船に対しては、全て我々がエンジンを提供したいと思っている」と力を込めた。