内海造船、サモア向け貨客船受注 ODA案件初成約、22年竣工【海事プレス-2/3】

「海事プレスONLINE」2021年2月3日(水)に、内海造船についての記事が掲載されています。

 日本でODA(政府開発援助)を活用した官公庁船の輸出案件の具体化が相次いでいる。日本政府のODA業務機関の発表によると、サモア国向けの貨客船を内海造船が受注した。サモア国と米領サモアを結ぶ航路に投入されている全長約46m級の貨客船の代替建造となり、2022年秋に竣工予定とみられる。内海造船がODA向けの案件を受注するのは初めてとなるもよう。

 日本とサモアは2019年10月、両首脳が会談し、その際にサモアに対する国際貨客船の供与の無償資金協力(供与額計25億円)で調印していた。政府のODA業務機関の発表によると、造船所との契約は昨年12月に決まった。
 サモア国と米領サモアを結ぶ唯一の貨客船としては現在、“Lady Naomi”(全長46m級、1998年NKK建造)が運航されており、同船が年間約1万人の旅客と約1000トンの貨物輸送を担っている。米領サモアは同国最大の輸出先として農産物や海産物が輸出されており、海上輸送が同国の社会経済にとって不可欠なものとなっている。ただ、既存船の船齢が20年超となり、鋼板の腐食に加えて艇体にひびが入るなど老朽化が進んでおり、新造船の建造が喫緊の課題となっていた。今回建造される新造船は既存船と同様に約46m級となるようだ。
 サモアは、主要2島とその他7つの小島からなる島嶼国で、地理的状況から海上輸送への依存度が高い。日本のサモア向けODAのフェリーとしては、三井E&S造船の提携造船所のアイ・エス・ビー(ISB、本社=千葉県富津市)が2010年に1000総トン型の貨客船を建造した実績がある。
 内海造船は小型から大型までのフェリーやRORO船を主力製品の1つとする造船所で、国内向けのフェリーやRORO船の豊富な建造実績がある。同社の瀬戸田工場と因島工場のうち、建造船型のサイズから新造船は瀬戸田工場で建造されるとみられる。
 日本は途上国の公共交通確保や海上保安能力向上などの観点から、官公庁船の供与を通じた国際協力を行っている。昨年は、2月にフィリピン沿岸警備隊(PCG)向け多目的船(巡視船)2隻の建造を三菱造船が受注したほか、8月にジブチ向け全長50m型の貨客船を北浜造船鉄工(青森市)、マーシャル諸島向け医療船を篠﨑造船鉄工所(熊本県宇城市)が受注するなどODA案件が相次いで具体化した。

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